クリニカルレポート

メディカルソリューション

マンモグラフィ読影ワークステーション マンモディーテ

クリニカルレポート (お客さまの声)

ネットカムシステムズのマンモグラフィ読影ワークステーション mammodite(マンモディーテ)は、全国の国立大学附属病院、公立病院、私立病院、クリニックなどで多数ご採用いただいております。
ここでは「女性にやさしいクリニック」を掲げ、先進的な人間ドックが受けられることでも知られている亀田京橋クリニックでのmammodite(マンモディーテ)の使われ方を、医師の戸﨑光宏先生、診療放射線技師の齋田愛先生よりレポートいただきます。

*この記事は、放射線医学雑誌『RadFan』2014年8月号に掲載された、亀田京橋クリニックの戸﨑光宏医師、齋田愛診療放射線技師による「クリニカルレポート」を許可を得て転載しています。

ネットカムシステムズ社 mammodite(マンモディーテ)を導入して

戸﨑光宏
亀田京橋クリニック画像センター長・健康管理センター長 亀田総合病院乳腺科部長兼務
一般社団法人乳腺画像・研究診断支援グループ理事長
一般社団法人 乳腺画像・研究診断支援グループ

http://www.big-reads.com

齋田 愛
亀田京橋クリニック診療放射線技師

クリニカルレポート要旨

亀田京橋クリニックでネットカムシステムズ社のマンモグラフィ読影ワークステーション「Mammodite」を採用し、1年が経った。なによりその表示スピードの速さと画像の美しさが一番の特長だといえるが、マンモディーテを使うことにより大量の画像の保管、患者の過去画像の呼び出し、本院(亀田総合病院)との画像の共有なども容易になった。ユーザーインターフェイスもシンプルで操作性がよく、診療放射線技師からの評判も高い。

Kameda Kyobashi Clinic has introduced the mammography image reader “Mammodite” by Netcam Systems for one year. We are satisfied with the high speed and beautiful display more than anything else. At the same time, it helps us very much to store of a large number of images, to find the patient’s previous one and to share ones with our head hospital, Kameda Medical Center in Chiba pref. Also radiologists are highly appreciates with this software since the user interface is simple and easy to operate.

~はじめに~
当院の掲げるビジョン

戸﨑光宏医師による
マンモディーテを用いた検査リスト確認の様子

 当院は、2013年にオープンした24階建ての複合施設・東京スクエアガーデンのワンフロアを占めている。JR東京駅から徒歩6分、地下鉄京橋駅直結というビジネス街の中心に位置し、銀座一丁目からも歩いて2分という、オフィスワーカーにとってもファミリーやシニア層にとっても非常に通いやすい場所といえる。
 このまさに都心と呼ぶにふさわしい立地で、当クリニックは検診においては「精密検査と同等レベルのドック機能」、診療においては「日本最高水準のイメージングセンター」をビジョンに掲げている。アクセスのよいこの場所で高いクオリティの医療を提供することにこそ、最大の価値があると考えているためだ。
 開院より1年が経ったが、その間もこの構想をより理想的なかたちで実現するべく、診療放射線技師やスタッフの拡充、機器やシステムの導入はもちろんのこと、部屋の増室やレイアウト変更まで、次々と必要な改善を行っている。それらの打ち手の中でも、ネットカムシステムズ社のマンモグラフィ読影ワークステーション「マンモディーテ」導入については、特筆すべきベネフィットがいくつもあった。本稿ではそのうちのいくつかを診療放射線技師とともにご紹介したい。

2院をつなぐ
マンモグラフィ環境

 当院の本院は千葉県鴨川市にある865床の亀田総合病院である。新たにサテライトとしてこの亀田京橋クリニックを開くにあたり、各2台、計4台のマンモグラフィ撮影装置を導入している本院と当院での読影データを、どのようにして共有するかは大きな課題の1つであった。鴨川での撮影歴のある患者が京橋に来る、あるいはその逆のケースも大いにありうるが、その際にスムーズに過去の撮影画像を呼び出すことができれば、それだけ診断の質を上げることができる。
 運用全体の流れとしては、*図1を見ていただくほうが早いだろう。京橋の当院でも、鴨川の本院でも、同じ環境で同じ画像を読むことができるようになっている。どちらで撮影をしても自動プリフェッチQ/Rでサーバに過去画像を取りにいく仕様になっており、グループ院での受診歴があれば画像がぱっと表示されて比較が容易にできるのだ。
 このネットワークの構築と設定もすべてネットカム社にお任せしたのだが、医師にとっても診療放射線技師にとっても、非常に満足度の高い運用環境となっている。(戸﨑)

*図1 システム構成図

PCさえ使えればわかる
「直感的」な操作性

 さて、この先は診療放射線技師(齋田)の立場から「マンモディーテ」の使用感についてご紹介したい。まず、何よりも声を大にしていいたいのは、パソコンさえさわったことのある人であれば感覚だけで使えてしまう操作性のよさである。見やすくて使いやすく、新しい機器やソフトウェアを導入した際につきもののイライラや作業時間の増大といったこととは無縁なのだ。
 ワンタッチレイアウトのアイコンも、イラストを見ただけでどの操作を表しているのかがすぐにわかるし、インターフェイスを自分の使い方に合わせてカスタマイズできる点も優れている。長時間機器に触れることの多い技師にとって、疲労を軽減してくれるこういった配慮は非常にありがたい。約1年間使ってみて、いまのところ特に困った経験やストレスはないというのが正直な感想だ。

まるでデータが最初から
そこにあるかのような「速さ」

 使いやすさの理由はUIだけではない。とにかく画像の表示スピードが速いのである。これまでさまざまなビューアを使ってきたが、その中でも群を抜いているという印象を抱いている。とかくデータ容量が大きくて重たいマンモグラフィであるにもかかわらず、まるでマンモグラフィではないかのような錯覚に陥るほどの速さだ。ある読影医が初めて使った際に「このビューアなら、いままでの倍くらいは診ることができるよ」といっていたが、あながち誇張ではないだろう。
 また、過去画像についても「わざわざ探してきて出している」という感覚をまったく持たせない。自分でサーバにアクセスして取りにいく必要がないのだ。過去画像をサーバから参照する際にはダイコムQ/Rという作業が発生するが、この「マンモディーテ」には自動プリフェッチQ/R機能があり、データを取りにいく工程が自動化されている。そのため、そもそも診療放射線技師が患者IDを入力して検索する必要がないのである。
「この患者さんの過去データを見たい」と思ったときには、すでにそこにその画像が存在している。あたかも過去画像が最初からローカルにあったかのようなこのスピードは、日々の読影において非常に強力な武器となってくれている。

患者データの
管理と検索が容易

 また、過去画像の参照について一点付け加えると、データがすべて患者IDで管理されているのもよい。女性の場合には名前が旧姓から新姓に変わることもままあるが、その際にも氏名変更の作業が発生しないのは魅力的だ。
 画像の検索方法にさまざまな方法がある点も重宝している。IDでの検索はもちろんのこと、前方一致、部分一致、後方一致での名前検索もできるため「あれは○○さんだったかもしれない」というような曖昧な想起からでも、確実にその患者さんの画像を引き出せる。また、検索条件のプリセットがあってカスタマイズができるため、その面でも作業工程を短縮することができている。
 それから、テンポラリーなデータを当院で撮った画像とは分けて扱える点についても記しておきたい。他院から来た患者さんの持参データは、わざわざPACSに送ることなくローカルだけで見ることができるのだ。フォルダを用意してそこにデータを移すだけでよいので、たとえば操作に不慣れな事務スタッフであっても容易に作業ができる。

トモシンセシス画像の
なめらかな表示

マンモグラフィ撮影の現場にて
戸﨑光宏医師、齋田愛診療放射線技師、スタッフ

 ここまで何点か、診療放射線技師の立場から使い勝手について触れてきたが、なによりも魅力的なのは、やはりトモシンセシス表示の速さだ。他院の診療放射線技師が見学に来た際につい力説してしまうのも、この点である。これまでに使ってきたビューアの中で、「マンモディーテ」のトモシンセシスが間違いなく一番使いやすい。
ベテラン技師にとってなめらかな表示のおかげで読影しやすいのはもちろんのこと、トモシンセシスの読影にまだ慣れていない技師にとっても、秒あたりのフレーム数を減らしてゆっくりと見ることができるために使いやすい。スピードを落としたからといって表示がガタガタと不自然になるようなこともなく、スムーズなままである。当然、手動に切り替えることもできるので、気になった箇所はしっかりと見ることができる。いかにいい画像を撮っても、こういったいいビューアがなくては意味がない、と実感する瞬間である。

書き込みやすい
レポートとシェーマ

 所見の書き込みやすさについてもぜひ触れておきたい。書くべき所見があったときには、さっと画像の上に印をつけ、レポートに貼付けて出力ができる。また、レポート印刷には反映されない「検査メモ」機能がついているのも便利な点で、カルテには残さずに読影で気がついたことを医師に伝えられるため、よく利用している。こういったシステムを使っていても、モニタ上だけでコミュニケーションを完結させるのは意外と難しいのだが、この「マンモディーテ」ではそれが実現している。
 シェーマの記入でも、わざわざ専用画面を立ち上げて描き込むという手間がない。最近のアップデートでは、所見を示す選択肢からあてはまるものを選び取って画面上の適切な位置に貼り付けるだけで、画像への書き込みが完了するようになった。それだけで自動的に所見の部位と内容がテキストに反映されるので、もはやこの作業においてはタイピングさえ必要さえないのである。これによって読影効率はますますアップしている。

診療放射線技師の
読影スキル向上に貢献

「マンモディーテ」を導入してよかったと感じる点の一つに、スキル向上に役立つことが挙げられる。このソフトにはブックマーク機能があり、個人フォルダをつくって自分の担当データを記憶させておいたり、共有フォルダを用いてスタッフみんなで共有することもできる。すると、自分が読影したデータに対して、最終的に医師がどんな所見をつけたのかがわかるため、あとから振り返ってスキルを磨いていくことができる。
医師と診療放射線技師である自分の読影の差異をフィードバックすることで、自身の「拾いすぎ」「読み落とし」を客観的に知り、技術を上げていくことができるように思う。そういった意味で、データ統計の利便性が高く、あとからCSVでまとめて落とすことができるのも非常に便利だ。
「マンモディーテ」は診療放射線技師の声を吸い上げて改良されつづけており、現場での使い方にマッチしたさまざまな機能を兼ね備えている。朝に問い合わせた疑問や不具合が夕方には解決している、といったきめ細かなサポート体制を、今後もぜひ維持してほしい。(齋田)

マンモグラフィの
今後の展望

 さて、最後にふたたび医師の立場より、これからのマンモグラフィの進むべき方向と、それにあわせて読影ビューアに対し望むことについて述べたい。
 今後、乳がん検診はまず間違いなく、マンモグラフィと超音波、それぞれの異なる長所を組み合わせた「総合判定」という領域に入っていくだろう。その方向性を見据えてますますの改良に励んでもらいたいし、ゆくゆくはマンモグラフィと超音波の画像を「切り替えている」「2種類の違ったものを見ている」という感覚なしにスムーズに比較しながら見ることのできるソフトウェアを開発していただきたい、と望んでいる。
 総合判定の分野においても、マンモグラフィ読影ワークステーションで培ってきた、ネットカム社らしい「使いやすさの追求」を望んでいる。

~おわりに~
検診で女性のQOL向上を

戸﨑光宏医師による
マンモディーテを用いた読影の様子

 先般、一般社団法人 乳腺画像・研究診断支援グループ〔Breast Imaging Research and Diagnostic Support Group(BIG READS Group)〕を立ち上げた。より正確な画像診断の普及に向けて、全国への教育を目的とした組織である。いまもっとも脂の乗り切った乳腺画像診断プロフェッショナルの集合体なのではないか、と自負している。
 また、わたしのライフワークの一つとして、乳がんでの死亡率が高いミャンマーに日本の検診システムを導入するという事業にも力を注いでいる。ミャンマーではマンモグラフィの有用性そのものが長らく認識されておらず、検診率もきわめて低かったため、がんを発見したときにはすでに乳房全摘となるケースが非常に多かった。いまはミャンマー保健省とも連携をとりつつ、撮影と読影のできる現地の医師、技師を育てているところだ。
 いずれも、乳がんの早期発見、そしてそれによる女性のQOL向上というのが目指すところである。その中ではマンモグラフィ読影ビューアも大きな役割を果たしており、今後もネットカム社にはさらなるソフトウェアの進化を期待している。(戸﨑)